PRP(Platelet Rich Plasma:多血小板血漿)療法とは、患者様自身の血液に含まれる血小板(ケガをしたときに血を止める細胞)を利用した再生医療です。血液を分離させたときに血小板にはたくさんの成長因子が含まれています。それを患部に注入することでご自身の修復機能を促進して組織の治癒や痛みの軽減を目指す治療です。
当院ではこれまで、患者様の血液を採取してPRPを抽出し、さらにPFC-FDに加工したものを患部に注射しており、疼痛が軽減したりヒアルロン酸製剤の注射をせずに済むようになったりなど、ある一定の効果を実感してまいりました。
この度、新たに採血したものを当日に院内で遠心分離を行い、炎症抑制作用の邪魔になる赤血球や白血球成分を約99%除去したもの(Pure PRPとも呼ばれます)を注射することができるようになりました。PFC-FDにくらべて含まれる成長因子の量は少ないものの採血量が少なくて済み、より安価に行うことができる治療になっています。対象はこれまでと同様主に変形性関節症や、筋肉や腱の付着部、靭帯などの痛みです。詳しくは医師にお尋ねください。
なお、当院ではPRP治療を施行するにあたって、以下の再生医療等提供計画の認可を厚生労働省より受けています。
計画番号 PB6210013
自家多血小板血漿(Platelet-rich plasma:PRP)を用いた慢性関節炎の治療(関節内投与)
計画番号 PC6210022
自家多血小板血漿(Platelet-rich plasma:PRP)を用いた筋肉、腱、靭帯、筋膜の損傷及び慢性炎症の治療(関節外の軟部組織)
- 変形性関節症
- テニス肘
- ゴルフ肘
- アキレス腱炎
- 足底筋膜炎
- 靭帯損傷
- ジャンパー膝
- 01/ 診察、採血診察,採血(通常15ml,両膝の場合には30ml採取します)
- 02/ 当院で遠心分離を施行※15ml採血できなかった場合でも10ml程度あれば十分可能です
- 03/ 当日に注射採血から注射までは15-30分程度です. 注射の後は15分程度安静にしてから帰宅していただきます.シャワー浴は可能です.
- 04/ 処置後注射の当日は激しい運動をひかえていただきます.1-2週後から必要に応じてリハビリを開始します.
- 05/ 経過観察注射後は2週,1ヵ月,3か月,6ヵ月,1年後など定期的に診察を行い,効果の判定を行います.(厚生労働省に報告の義務があるため)
- PFC-FD療法の利点
- 自分の血液がもとになるのでアレルギー反応の可能性が低い
- 採血当日に加工,注射が可能
- 変形性関節症や筋・腱・靱帯の障害などに多く使用されており,一定の効果が見込まれる
- 他のPRP療法に比べると比較的安価である
- 何度でも施行可能である
- PFC-FD療法の欠点
- 個々によって若干品質にばらつきがある
- 注射後にしばらく痛みを伴うことがある
- 成長因子の含有量は他のPRPに比べると少ない(海外の報告では効果はほぼ同等と言われています)
- 他の療法よりも安価だが,それでも保険外診療のため費用がかかる(当日投薬や画像検査があれば,それも自費となります)
※現時点では保険外診療で行う治療ですが,例えば膝の痛みで長年ヒアルロン酸製剤の注射を受けているが効果の乏しい方,テニス肘などで様々な保存治療を受けていたが効果が乏しい方などで手術も検討しているが,何とか手術以外の治療がないかといったような患者様,肉離れや靭帯損傷の後で自己修復能力を高めたい方などにトライする価値があると考えています.
PRP療法の費用
(採血・加工・注射)
- 1部位
- :¥50,000(税別)
- 2部位
- :¥90,000(税別)
- 学生(高校生以下)
- :¥45,000(税別)